--- title: Web GPIO API/Web I2C APIをRaspberry PiのNode.jsから使う emoji: 🤖 topics: [nodejs, raspberrypi, chirimen] type: tech published: true --- この記事は [CHIRIMEN Open Hardware Advent Calendar 2020](https://qiita.com/advent-calendar/2020/chirimen_oh) 2 日目の記事です。 ## 概要 Raspberry Pi の Node.js から Web GPIO API と Web I2C API を扱う方法を説明します。 :::message [Web GPIO API](http://browserobo.github.io/WebGPIO/)/[Web I2C API](http://browserobo.github.io/WebI2C/) とは [W3C の Browsers and Robotics コミュニティグループ](https://www.w3.org/community/browserobo/)で標準化に向けての検討されている、JavaScript で Web アプリから電子パーツを直接制御できる低レベルハードウェア制御 API です。 ::: :::message [Node.js](https://nodejs.org/) は、オープンソース・クロスプラットフォームな JavaScript 実行環境です。 [パッケージマネージャー npm](https://www.npmjs.com/) を利用して膨大なパッケージにアクセスでき、IoT プロトタイピングだけでなく幅広いアプリケーションを作るために使われています。 ::: ## 準備 プログラムを実行するには Raspberry Pi に Node.js をインストールします。CHIRIMEN を利用する場合はあらかじめ Node.js がインストールされているので不要です。 もし CHIRIMEN の microSD カードを作成する方法を知りたい場合は [CHIRIMEN の SD カードイメージの作成方法](https://tutorial.chirimen.org/raspi/sdcard)を参照してください。 :::message [CHIRIMEN](https://chirimen.org/) は、Web ブラウザからハードウェアを制御するプロトタイピング環境です。 ::: ## Raspberry Pi に Node.js をインストールする方法 いくつか方法はありますが、ここでは [NodeSource を使ったインストール方法](https://github.com/nodesource/distributions#installation-instructions) を紹介します。 ターミナルを起動して以下のコマンドを実行します。 ```sh curl -sL https://deb.nodesource.com/setup_14.x | sudo -E bash - ``` ```sh sudo apt-get install -y nodejs ``` これで Node.js のインストールは完了です。 ## 新しいディレクトリの作成 続いて、実際にアプリケーションを作る前にプログラムを実行するための環境を整えます。作業用のディレクトリを作り、そのディレクトリの中でプログラムを実行します。 ターミナルを起動して以下のコマンドを実行します。 ```shell mkdir hello-real-world ``` ```shell cd hello-real-world ``` npm のためのファイル package.json を作成します。 ```shell npm init -y ``` 作業用のディレクトリの中に npm パッケージ [node-web-gpio](https://www.npmjs.com/package/node-web-gpio) と [node-web-i2c](https://www.npmjs.com/package/node-web-i2c) をインストールします。 ```sh npm install node-web-gpio node-web-i2c ``` これで Node.js から Web GPIO API と Web I2C API を使う準備は完了です。 ## Hello Real World Raspberry Pi に接続した LED を点滅させるプログラムを書きます。 次の図のとおりに配線します。 ![LEDの点滅回路の配線図](https://i.imgur.com/419yMxN.jpg) 空のテキストファイル main.js を作成し、Node.js のための JavaScript のプログラムを書きます。 ```sh editor main.js ``` テキストエディターで main.js を次のように書きます。 ```js const { requestGPIOAccess } = require("node-web-gpio"); const sleep = require("util").promisify(setTimeout); async function blink() { const gpioAccess = await requestGPIOAccess(); const port = gpioAccess.ports.get(26); await port.export("out"); for (;;) { await port.write(1); await sleep(1000); await port.write(0); await sleep(1000); } } blink(); ``` 書き終えたら保存します。 Node.js で main.js を実行するには、次のコマンドを実行します。 ```sh node main.js ``` LED が点滅すれば完成です 🎉 ## いろいろなデバイスを試す CHIRIMEN ブラウザーから利用できるいろいろなデバイスはすべて同じように Node.js から扱うことができます。 たとえば、次のコードは[温度センサー ADT7410](http://akizukidenshi.com/catalog/g/gM-06675/)を利用して温度を表示するプログラムです。 ```js const { requestI2CAccess } = require("node-web-i2c"); const ADT7410 = require("@chirimen/adt7410"); async function measure() { const i2cAccess = await requestI2CAccess(); const i2c1 = i2cAccess.ports.get(1); const adt7410 = new ADT7410(i2c1, 0x48); await adt7410.init(); const temperature = await adt7410.read(); console.log(`Temperature: ${temperature} ℃`); } measure(); ``` コマンド `npm i @chirimen/adt7410` を実行すると、温度センサー ADT7410 を利用するための `@chirimen/adt7410` パッケージをインストールできます。 デバイスを扱うためのドライバーのパッケージの一覧は [CHIRIMEN Drivers](https://github.com/chirimen-oh/chirimen-drivers) にありますのでご覧ください。 また、CHIRIMEN チュートリアルのなかには、Web GPIO や Web I2C によって扱うことのできる[外部デバイスとサンプルコードの一覧があります](https://tutorial.chirimen.org/raspi/partslist)。こちらも参考になるかもしれません。 ## まとめ CHIRIMEN ブラウザー版での API の差異をまとめると下記とのおりです。 | CHIRIMEN ブラウザー版 | Node.js | | ----------------------------- | ----------------------------------------------------------------------------- | | `navigator.requestGPIOAccess` | `const { requestGPIOAccess } = require("node-web-gpio");` `requestGPIOAccess` | | `navigator.requestI2CAccess` | `const { requestI2CAccess } = require("node-web-i2c");` `requestI2CAccess` | | `sleep` | `const sleep = require("util").promisify(setTimeout);` `sleep` | 以上です。 この記事では、Raspberry Pi の Node.js から Web GPIO API と Web I2C API を扱う方法を説明しました。